Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

山岳国家の主力輸出品

 そういえばネパールでも3年ほど前に大地震があって、多くの人たちが犠牲になった。ヒマラヤ登山などでは日本でもニュースが流れる国ではあるが、それ以外にあまり話題になる国ではない。ほとんどが山岳地帯で農耕には適さず、特に有力な鉱山も工業地帯もない貧しい国である。その復興はどうなっているのだろうかとぼんやり思っていたら、ネパールについてこのような記事があった。

 
 
 グルカ兵という言葉を聞いて、ああそういえばネパールも古来輸出品は「傭兵」だったことを思い出した。似たような国にスイスがあるが、こちらはヨーロッパの中心に位置し欧州の王侯貴族のガードマンとして地歩を築いて、それが近代の金融立国へつながっていった。命のほかに財産も守るガードマンに転化したのである。

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 さてネパールはというと、そういう転進はできなかったようだ。イギリス連邦を中心に、物理的な兵力を貸し出すことを続けている。ただこの兵士たち、特に近接戦闘の能力にかけてはただものではない。この記事にもある「ククリナイフ」という、ブーメランにも似た湾曲した独特の長いナイフを常用し音も立てずに急所を切り裂くという。見かけより遠くに届くのがこのナイフの特徴という。
 
 身体能力も高く、獰猛な性格だとその業界では恐れられている。アバロンヒル社の「Squad Leader」では、グルカ兵の白兵戦能力は通常の2倍、相手が(情けない)イタリア兵だと3倍になるというルールがあったのがその証拠。
 
 その戦闘テクニックを教えてくれたのはマット・リンという作家の描く特殊部隊員のシリーズ(暗黒の特殊作戦等)だった。ここに登場するグルカ兵が、まるで忍者のようにアフガニスタンソマリアの戦場でで敵を倒すシーンが印象的。惜しいことに囚われた隊長を助けに行く途中で戦死してしまうのですが、それがこの貧しい国の戦士の定めなのかもしれないと思いました。
 
<初出:2018.6>