まだ５月なのだが、30度を超える蒸し暑い日もときおりあるようになった。まだ体が暑さに慣れていないので、結構こたえる。産業界では５月から「クールビズ」なので多少は助かる。ネクタイを結ぶと、２度ほど気温が上がったように感じるともいう。
こんな時期のランチとしては、やっぱり冷たい麺が欲しくなる。例によって、「小諸そば」の比率が高くなることは確かである。元来細い麺が好きでうどんより蕎麦を食べることが多いのだが、今回は「なか卯」でうどんを食べてみた。和風牛丼を食べる機会の多い「なか卯」だが、本来はうどん屋さんである。
蕎麦は「たぐる」といって、粋に食べるのはすすり込むのだという。飲み込んでしまうものだから、「のど越し」を楽しむともいう。まあ、つゆをどっぷりつけてはいけないとか、ワサビはつゆに溶いてはいけないとか、なかなかお作法の難しい食べ物ではある。
その点、うどんにはそのようなうるさい話は（少なくとも僕は）知らない。すすり込まずに、じっくりかみしめて食べるようにしているから、「歯ごたえ」の方が大事だ。今回注文したのは、ざるうどんの1.5玉。刻み葱と海苔以外はおろししょうがだけというシンプルなもので、これで490円なり。
暑い街中を駆け回る若いサラリーマン諸氏はこれにミニ丼などを付けて急いでかき込んでいるが、僕としては１本１本かみしめながらゆっくり味わうようにしている。貧乏くさいなどとおっしゃるなかれ、うどん屋さんとしての「なか卯」の実力を図るには、これが一番いい食べ方なのだから。さっぱりして、美味しかったです。
＜初出：2017.5＞
