Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

政府閉鎖に言及した大統領

 政治とは何か、つまるところカネである。どこから集めて、どこに使うか、その方向性から細部の諸条件までを決め、実際にお金を廻すことが政治と思っていい。クラウゼヴィッツのいう「政治継続体である他の手段である戦争」も、軍備・教育・作戦・補給のすべてにわたってお金がからんでくる。もちろん植民地支配や貿易不均衡など経済問題などに起因して戦争はおきるのだから、お金は戦争の原因でもある。

 
 小泉総理は郵政資金が公共事業にムダに流れているのを変えようとして、その出口である公共事業等を絞ると同時に、入り口である財政投融資に手をつけ郵政民営化という大博打選挙に撃って出た。安倍第二次政権も、アベノミクスの三本の矢と称して金融緩和・財政出動規制緩和による経済成長を目指した。その成果評価は後年に譲るとして、安定した長期政権でも政治の基礎たるお金の流れを変えるのは、並大抵の苦労ではない。

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 選挙のときは「改革」と銘打って、既成政治(つまりお金の流れ)を変えると言っていても、何層にも重なる抵抗勢力(決して財務省だけではない)を乗り越えて公約実現をするのは難しい。その壁に、ついにトランプ大統領は「キレた」らしい。メキシコ国境の壁建設費用が出せないなら、政府閉鎖もやむを得ないと発言したようだ。
 
 予算を超過して債務を増やすことは避けるのが望ましいのだが、米国にはそのような事態でも「ここまでの債務ならOK」という上限が決められているから、そこまでは借金運営が出来る。もちろん上限に来ると、議会が認めて法改正をしないとこれ以上債務は増やせなくなり政府閉鎖に追い込まれる。実際、2013年オバマ政権で政府閉鎖が起きた。僕らから見るとオバマ政権が電子政府(e-Gov)を促進する予算を増やしたのが気に入らない共和党が意地悪をして、上記法改正に応じず政府が止まってしまった。
 
 東京で日米政府政策協議が予定されていて官官だけでなく官民会合もやるつもりだったのに、急に霞ヶ関から連絡があり「米国政府団が、旅費がなく来日しません。政策協議は(無期)延期です」と告げられた。その再現は避けて欲しいものだが、
 
 
 の記事を読むと、現時点では脅迫レベルのようだ。しかし、インフラ投資100兆円というのも精々20兆円、オバマケア廃止はできず思ったほどの財源は確保できない。一方大統領家族の警護費用は予算オーバーと、とても優れたビジネスマンとは思えない政権運営が続いている。メキシコの壁と政府機能をてんびんにかけるような、非現実的な話が出てくるとは信じがたい。バノン氏が去り現実的になったと言われるトランプ政権だが、とてもまともには思えませんね。
 
<初出:2017.8>