Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

新しい共産主義社会

 池田信夫という人には、1~2度会ったことがある。やはりICT政策がらみの会合だった。独自の視点からやや辛辣なコメントをする人だとの印象を持っている。彼が「アゴラ」で紹介している本書「デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか」、いずれ書店でさがしてみようと思うのだが、この紹介文だけでも十分示唆に富んだものである。

 
 
 デジタル革命とかデジタル経済とかいうものが、経済成長のための必須項目であるのは(誰が何を言おうが)自明である。「道を誤る」とは思いたくないが、格差を助長することは間違いない。恩恵を受けられる人とそうでない人がかなりはっきり分かれ、その差はどんどん開いていくからだ。
 
 日本社会のICT導入が遅れているとの指摘は、僕もずっと主張してきたし事実である。導入/活用を阻んでいた要因のひとつが「雇用の維持」だった。特に「電子政府自治体」を巡っては、労働組合の圧力もあってICT導入しても雇用の量も仕事の質(やり方)も変わらない。それではICT導入した分だけコストアップ(税金ですよ!)してしまう。

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 しかし全世界的なデジタル革命が進捗してきて、そんなことは言っていられない時代がやってくる。民間企業ばかりでなく、自治体だって財政的に苦しいのだから職員をパート+ロボットに切り替えていくだろう。つまり自分の食い扶持を十分に稼げる人が減っていくわけだ。
 
 そこでこの記事がいう「ベーシックインカム」のような、所得の再配分を考える必要が出てくる。原始共産主義マルクス共産党宣言に続く「新しい共産主義社会」も考えられるだろう。多くの労働はロボットが行い、その結果得られたものは(ロボットには申し訳ないが)人間が山分けするという次第。
 
 米国の有名なシンクタンクは、富豪等からの資金拠出を受けて世界的な問題に取り組んでいる。ICT業界の富豪も大勢おられるわけですから、こういうテーマの研究での委嘱されてはいかがでしょうか?もうされているのであれば、ごめんなさい。
 
<初出:2017.11>