Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

分厚い中間層という幻想

 経済評論家の浜矩子先生は、とてもユニークな人。紫の髪の毛といい、ドスの効いた声といい、趣味は「大量飲酒」とおっしゃることといい・・・。論説そのものは耳を傾けることもあるのだが、大手商社系のシンクタンクでロンドン駐在も長かった方にしては、グローバリゼーションに対して懐疑的な発言が気になる。今回のAERAの巻頭エッセイが下記。

 
 
 中間層の没落が世界中でポピュリストの扇動もあって、「政治的真ん中」への逆風につながっているという論理に異論はない。かつて民主党政権最後の野田佳彦首相は「分厚い中間層を復活させる政策」を標榜した。この政策理念そのものは間違いとは言えないし、現在の自民党政権もこれに真逆なことを言っているわけではない。しかし、あるべきこととできることは違う。

    f:id:nicky-akira:20190528055733p:plain

 グローバリゼーションが進めば、労働者は間接的にせよ外国の労働者と競合することになる。日本の労働者の賃金は普通発展途上国の労働者のそれより高いので、仕事を奪われるか賃金を下げられるかを選ぶしかない。これがじわりじわりと進んできて、先進国では中間層が没落したわけだ。それは日本でも当然進んでいるし、今後もエスカレートしてゆくだろう。
 
 それを表したもうひとつの報道があった。これまで米国等に比べ低いと言われていた日本企業のROE(Return on Equity)がついに10%の大台を超えたという。この背景にグローバリゼーションがあることは論を待たない。
 
 
 企業は好景気と言っているのに市民にその感覚が得られないと言われていることと、ぴたりとあっている2つの記事でした。
 
<初出:2018.3>