Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

北大西洋の脅威

 クリミア侵攻やシリア紛争で存在感を示したプーチン・ロシア軍、次の目標はバルト三国とも言われている。エストニアラトビアリトアニアの先にはロシアの飛び地があることは、あまり知られていない。特段重要都市や港湾があるようには見えないが、スラブ系民族がこの周辺に多いことは確かだ。

 
 第一次世界大戦ロシア革命の結果、ロシアから独立したこの三国、第二次世界大戦の劈頭ソ連軍に蹂躙されてしまった。第二次欧州大戦を扱ったゲーム「Third Reich」では、小国としての戦力すら設定されておらず、独ソ密約によるポーランド分割と同時にソ連占領地区となる運命だ。
 
 原油高という好条件はあるものの、ロシア経済は厳しい環境下にある。「強いロシア」復活を掲げるプーチン大統領の支持率は高いのだが、国境の外にも目を開いたインターネット世代の支持は低下している。そんな中、ロシアの脅威を背景に米軍が第二艦隊を再編成するというニュースがあった。
 

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 この艦隊の守備範囲は北大西洋、2001年に解体されていた。「レッドオクトーバーを追え」のようなシチュエーションでは主役となった艦隊である。米側から見てロシア海軍最大の脅威は戦略核ミサイルを搭載した原子力潜水艦だが、これに対応するのが主な任務だった。ウラジオストック港でも外洋に出ることもなくなった潜水艦の放置が問題となっているように、ロシア軍潜水艦はあまり稼働していない。
 
 ロシアの脅威は確かにあるのですが、それが米軍艦隊を必要とするレベルなのかどうかは判断が分かれます。何か世間には流れない脅威情報を得たからか、単に予防措置か、プーチン政権への牽制か、はたまた米軍のワルノリか。どうもトランプ政権のやることは方針が見えませんね。方針・・・ないかもしれないけど。 
 
<初出:2018.5>