Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

もうひとつの経済制裁

 国連安全保障理事会も、大変忙しくなった。最大級の経済制裁として、海産物・石炭・鉄鉱石等の貿易禁止を打ち出してまもなく次の声明を出さざるを得なくなった。立て続けに声明の決議をすることで、前の制裁決議の信用度というか威力が損なわれるとの意見もあったよううだが、まずは迅速な全会一致での声明発表は良かったと思う。

 
 さて次の一手だが、日米はもっと重い追加制裁を提案しようとしている。例えば石油の禁輸。これは80年近く前、大日本帝国がこれをやられて暴発した因縁の制裁である。日露戦争までは、軍艦の燃料は石炭だった。その後より効率のいい石油をエネルギー源とするようになり、1930年代は石油ナシには戦争できなくなっていた。ドイツ第三帝国ルーマニアの油田を、大日本帝国は南方の油田を確保するために知恵を絞った。
 
 北朝鮮にも、石油を産するところはない。米韓軍事演習も、ひとつにはかの国が対応することで燃料備蓄を減らすだろうというのが実施目的のひとつである。確かに備蓄は少ないようで、外貨稼ぎの手段のひとつだった航空ショーも今秋は中止にしている。石油禁輸の制裁決議が出せれば相当のインパクトはありそうだが、中国は「市民生活への影響が大きい」として反対の意向、ロシアも賛成はしないだろう。
 
 あらためて経済制裁の手段を振り返ってみると、ヒト・モノ・カネの流れを止めることである。カネは、かの国の対外資産を凍結したり金融取引を制限することはやっている。モノも、取引をする中国系企業などを制裁対象としたり上記のように海産物・石炭・鉄鉱石などの貿易禁止をしている。ヒトについては、目だたないが日本では渡航禁止だし米国も8月一杯で退去するよう市民に通知している。

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 と、ここまで考えて僕自身がいつも言っている第四の資源に思い当たった。いつも「ヒト・モノ・カネに加えて情報が経営資源」とエラそうに話しているではないか。じゃあ、情報を止めたらどうなるだろうか。やろうと思えば、手段はある。2015年末ソニー・ピクチャー・エンターティンメントにサイバー攻撃があった折、オバマ大統領は北朝鮮を犯人とし報復すると言った。その後同国では2度にわたりインターネットにつながりにくい状況になった。
 
 米国政府が関与したかどうかは別にして、このようなことは可能なのだ。ひょっとすると、日本政府にも可能な手段なのかもしれない。例えば「世界を再び核戦争の恐怖の時代に戻そうとしている国に制裁を」とアノニマスなどに呼びかければ、情報封鎖に協力してくれるかもしれない。日米両政府には、一度ご検討いただければと存じます。