Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

弱肉強食の世界へようこそ

 防衛省の来年度概算要求が出てきた。メディアは「過去最高5.25兆円」とこぞって伝えている。

 
 
 直接的には膨らみ続ける北朝鮮への脅威に対抗するため、ミサイル防衛の費用がかさむからだ。この夏、与党議員団がハワイの「軍事ショールーム」を視察し、新型迎撃ミサイルSM3や地上配備型の「イージス・アショア」を見てきている。これらの導入もしくは導入検討の費用がもりこまれているものと思われる。それに加えて、先ごろの小野寺防衛大臣発言「敵基地攻撃能力」の検討にも多少の費用はかかるだろう。
 
 これを中国などは「安倍軍拡」として非難している。北朝鮮にいたっては「わが国をダシに軍拡に走る愚か者」呼ばわりしてくる。国内では野党の某副党首(党首は落選中なので事実上の党首)が、「辺野古で座り込みしてま~す」とSNSに投稿、苦笑を買っている。軍事オンチ(というより歴史に無知)な人たちとそれを育てたメディアが、今後何を言い出すかと思うと憂鬱になってきた。そんな時、久しぶりに落合節を聞くことが出来た。

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 前段はトランプ大統領批判でこれだけなら珍しくも無い論評だが、後段の「世界がジャングル化した」という指摘には拍手してしまった。オバマ大統領が政権の終わりごろ「America is not a world policeman」と発言したのを、そりゃ無理だよねと思いつつも不安を持って聞いていたものである。この記事を読んで、ついに実質的な「新戦争の世紀」に入ったかもしれないと僕も思う。
 
 にもかかわらず国会での論戦は、大臣の言い間違いとか、議員の「ハ○~」暴言とか、文書があった/無かったとか、低劣な話ばかりだ。野党第一党の党首選挙も、まるきり盛り上がらない。この平和ボケ振りには、目を覆いたくなる。第一次世界大戦第二次世界大戦の間隔は20年しかなかった。第二次世界大戦後、70余年小規模な局地戦しか発生していない。「冷戦」の終結からでも、もはや30年経とうとしている。
 
 終戦の日があったせいか、戦争の悲惨さを語るTV番組が多かった。戦地に行った人も本土で空襲に遭った人も口々に「戦争はよくない、決してしてはいけない」という。その言葉は真実だし、重く受け止めるべきだ。しかし「治にいて乱を忘れず」という言葉もある。戦争やその歴史を知ることは、今後の人たちには必須の「生きる知恵」になるはずですよ。
 
<初出:2017.9>