Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

日韓協定、意外な前進

 4年あまり棚上げになっていた「日韓秘密情報保護協定」(GSOMIA)が、韓国政権の急転で締結の運びとなった。この協定は北朝鮮の脅威などに備えるため、日韓両国でお互いの軍事情報を共有しようとしたものである。英文では、General Security of Military Information Agreementという。明確に"Military" の文字が入っているが、日本語では「軍事」の文字はない。このあたりも、官僚のレトリック技術なのかもしれない。

 
 この協定は両国で合意していたのだが、李政権の末期突如棚上げされる。米国にある慰安婦像の撤去を日本政府が求めたことが原因とされているが、締結予定時刻の1時間前の通告は韓国の内部事情によるものと考えていいだろう。

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 情報共有は同盟国としての実質的な利点と同時に、シンボリックな意味を持つ。三国志などによく出てくるが、情報を手土産に寝返るというのは常套手段だ。情報を深いところまで共有するということは、寝返らない相手と思って信用してますよ、とお互いが内外に示すことになる。
 
 だから今回の協定締結は、良いことに違いはない。しかし、今まで棚上げにしてきたのに今何故できるの?という疑問が湧く。この協定そのものは、僕も忘れていたし韓国のメディアも取り上げていなかったように思う。閣議決定するぞという報道があって「日本に軍事情報を売り渡すな!」と反対デモが起きたが、それだけのことだ。
 
 メディアの論調も、本協定の是非を問うものではなく、これによって大統領が「辞めないぞ」との意思を示したというものが多い。コリア・レポートの辺真一編集長が「辞めれば即逮捕ですから」と言っていたが、ほぼ支持率ゼロになって、まともな政権運営ができるはずもない。
 
 「崔家の操り人形」ではないかとの疑惑がある朴大統領、今は誰が操っているのだろうか。
 
<初出:2016.11>