韓国の朴大統領が、窮地に立っているらしい。崔順実というバックの存在が明らかになったからだ。別に後見人や協力者はいてもいいのだが、演説原稿の「手直し」程度の関与ではなく安全保障関連の情報も得ていたというから困ったものだ。やはり大統領だった朴(父親)大統領のころから、家同士のつきあいだったらしい。
多くの若者が犠牲になったセオウル号事件の時、朴(娘)大統領のリアクションが遅れたのは、崔順実の父親と会っていたからだとの報道もある。公にでなく隠れるように会っていたから、側近も連絡がとれなかったのだろう。これまでにも崔家を巡って種々の疑惑もあり、それが一気に噴出した感じだ。
そこで気になるのは、彼女の経歴。母親がテロで亡くなった後、父親の大統領のファーストレディー役を務めていたのだが、1979年に父親も暗殺されると、政治の表舞台から姿を消している。ガールスカウト団の名誉総裁などを務めていたらしいが、1998年の補欠選挙に立候補、政界に戻ってきた。彼女は1952年生まれだから28歳から46歳の間ブランクがある。
誰かが元大統領(特に悲劇の大統領)の娘として、二世効果を狙って引っ張り出した可能性を捨てきれない。政治家としての資質も実力も、正直わからない。全てが崔家の意思のままに動くマリオネットだったらと考えると、ぞっとする。何といっても休戦中とはいえ、隣国との戦争が続いている国の元首なのだから。
韓国メディアの批判は、沸点に達している。朝鮮日報は「大統領の国政運営力の崩壊」と報じた。かの国の人たちは感情が激しい方だとはいえ、これほどの表現を使わざるを得ない事態と考えてもいい。大統領個人にとどまらず、内閣、セヌリ党、検察など行政や公権力全てに火の粉が降りかかっている。かくなる上は大統領以下青瓦台全ての辞任と、与野党を問わない挙国一致内閣の設立が必要だとする主張もある。