Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

中国版「マーシャルプラン」

 米軍の撤退が始まったシリア、かといって内戦状態が収まるわけではない。掃討されたはずのイスラム国勢力(IS)もそれなりに残っているし、アサド政権に批判的(というより敵対的)な市民も多い。欧州諸国にとっては、早く収まってくれないと難民問題で自分たちの国の政治が破綻してしまうので何とかしてほしいだろうが、ここまでこじれると収束するシナリオが見えない。

 
 ここにきて、新しい勢力がかの地に進出しているという記事があった。それはGDP第二位の国中国。
 
 
 中国にとってシリアは「一帯一路」の終点に近いエリア、拠点を作っておく必要はある。しかし軍事的に進出すれば(米国はもちろん)ロシアとの摩擦を招く。そこで習大人版の「マーシャルプラン」をもって、経済的に進出しようというわけだ。
 
 事実上の国家企業であるファーウェイが、シリアの破壊されつくした通信インフラの復旧を担当することになったらしい。もちろん対価は格安か、長期貸付だろう。ロシアも決して裕福ではないから、自分はアサド政権への影響力と東地中海での海空軍の拠点を確保することで辛抱するだろう。札束戦争では、中露が戦えば結果は明らかだ。

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 ファーウェイも幹部社員がポーランドでスパイ容疑で逮捕されるなど、中国包囲網のヤリ玉に上がっているものの、新天地には意欲的だ。今回のシリア復興支援も、包囲網が完成する前に少しでも糸口を作っておくことの一環だろう。
 
 意外だったのはISの構成員の幾分かが、新疆ウィグル自治区の出身者だということ。中国がISにどういう態度で臨むのかは良くわからないが、シリアから追い出して自国に戻られたら厄介だろうし、かといって支援するはずもない。米国が手を引きつつあるシリアやその周辺で何が起きるか、米中対立と並んで今年の注意項目でしょうね。
 
<初出:2019.1>