Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

寿命の延びる派生兵器

 イスラエル建国直後、この国は非常に危ない状況に置かれていた。まさにアラブの大海に浮かぶ小島のようなもので、土地を奪われたパレスチナの人たちの怨念は津波のように押し寄せていたからだ。現にその後、4次にわたる「中東戦争」が起き、多くに勝利したもののイスラエル自身も多くの犠牲を出した。

 
 第二次世界大戦中からユダヤ師団はそれなりの訓練を積み、上記の戦いのための練度を増していたのは幸いだった。イスラエルには科学の知識やメカの技量を持つ人も多く、対戦終了後世界でダブついた旧式兵器を、闇マーケットも含めて買いあさり戦力化していった。

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 その象徴と僕が思ったのが「スーパーシャーマンM51」である。M-4シャーマン戦車は嵩の高い航空機用エンジンを積んでいたこともあって車高が高く、ドイツの一線級戦車の相手にはならなかった。そのドイツ戦車隊を打ち破ったスターリンT-34/85やSU-100などと戦えば、有利には戦えなかったはずだ。
 
 しかしこの対戦は朝鮮戦争(1950年~)に先だって、1948年からの中東戦争で起きた。中古のシャーマンを改造したM51は、T-34/85やSU-100などを主力としたアラブ軍をさんざんに破った。乗員の練度の差もあろうが、派生兵器を侮ってはいけない好例である。
 
 
 これは空でも起きていたようで、この記事によると初飛行から60年を経たソ連製MiG-21の派生形が発展途上国で人気なのだと言う。そういえばアフリカ某国では主力戦車(といっても数両しかないらしいが)はT-34/85だという話も聞いたことがある。
 
 エレクトロニクス化が進んでいない時代の兵器というのは、実に寿命が長い。これはメカニカルカメラ等にも言えることで、適切にメンテすれば100年もつこともある。電子化/ICT化された現代では、部品の供給できる期間が短くこのようなことは出来ない。部品供給者が製造ラインを更新してしうし、在庫もそんなには持たないからだ。これからの兵器の派生型はどうなっていくのでしょうか?興味深いです。
 
<初出:2018.5>