Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

七夕の砲艦外交

 香港返還から20周年になる今年、習主席が初めて香港にやってきた。当面1国2制度は守るのだが、独立などもってのほかと強面だったという。3年前の「雨傘運動」以来、なんとなく足が向かなくなった香港だが、物価の高騰・人口流入・格差拡大などで市民の不満はかなりのレベルに達しているらしい。香港から欧米へ移るのは難しいけれど、台湾ならいけるかもということで、台湾への移住が増えている。一方で中国本土の富裕層が、いざという時のために香港にマンションなどアセットを持つことも加速している。

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 このいざという時というのは、中国本土で政変や恐慌、あるいは内戦のような危機が迫った時という意味だ。香港に逃避先を求める人もいれば、香港から逃避する人もいるというわけ。それにしても、もう20年も経ったのかとの感慨もある。今回は、20周年杵イベントとして空母「遼寧」が寄港する。現在純粋国産空母を建造中の中国だが、唯一の現役空母「遼寧」がロシア製重航空巡洋艦アドミラル・クズネツォフ」の同型艦を購入・改装したものである。
 
 僕はこの空母、実戦の役には立たないとみているが、中国海軍最大の軍艦であることは事実である。昔から「砲艦外交」というのはあって、強力な軍艦を見せびらかして威圧するというもの。日露戦争終結直後の1907年12月、米軍大西洋艦隊は世界一周の航海に出た。Great White Fleetというのがそれ。旗艦コネチカット排水量16,000t)以下、白く塗った新造戦艦16隻で艦隊を編成したものである。パナマ運河を建設し始め一大海軍国を目指していた新興国アメリカの威力を見せ付ける航海だった。トランプ先生ではないが、このころのアメリカはGreatだったのである。
 
 砲艦外交は仮想敵国を震え上がらせる効果があるが、今回の「遼寧」香港寄港は、おそらくは独立派封じだろう。香港でどのくらい歓迎されるか、楽しみにしています。
 
<初出:2017.7>