Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ホーチミンの雑踏

 一時期、アジアのいろいろな国を巡っていたことがある。3連休に1日休みを付けて3泊4日、最初の街をざっと偵察するなら十分な日程だ。当時(今もか?)成長の期待が高いベトナムにも、2度行った。最初はホーチミン、昔の名前はサイゴンという。

 
 北ベトナム軍がここを占領しベトナム戦争にピリオドを打ったのち、北の政治指導者ホーおじさんの名前が付けられたのだが、今でもサイゴンと呼ぶ人たちもいるらしい。ベトナム戦争は最初は旧宗主国のフランスとの戦いだったが、後に世界最強の米軍が介入し第二次世界大戦をはるかに上回る弾薬をこの細長い国に撃ち込んだ。
 
 成田からベトナム航空に乗って5時間ほど、かなり年期の入った飛行機でどうもアエロフロートのお古らしい。金属に彫り込んだ文字がキリル文字だった。それでもなんとか着陸すると、12月だというのに気温は30度は優に超え湿度も極めて高い。宿泊したのは"New World" というホテル。クリントン大統領も泊まったことがあると書いてあった。

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 政治上は共産主義国家であるが、資本主義経済が十分回っている。ちゃんとクレジットカードは使えるし、米$が通用する。なにより、銀行でのベトナム・ドンと米$の交換レートが売りも買いも同じなのには驚いた。手数料は取るようだが、交換レートが双方向で同じということは、どちらもその国の通貨であるということではないだろうか。これが昔凄惨な戦いをした国同士かと思うと、複雑な気持ちになる。
 
 ホテルの中は快適だが、一歩街路に出るとバイクの群れ、また群れ。二人乗りは当たり前、3人4人と乗っている。荷物は危なっかしく積んでいるし、脚立のような長物を運んでいるバイクもいる。信号は、あって無きがごとし。右から左から、後ろから前から。東京のターミナル駅で乗り換えようとして人込みをかき分けるのだが、そのような感じでバイクが迫ってくる。
 
 しかし現地の人たちは平気のようで、風船売りのおばさんが、(画像の左に見えるが)バイクをすり抜けながら歩いてくる。バイクだけでなく時折はクルマも走ってくるから、歩けることだけで敬服する。発展が期待できる東南アジア諸国だが、インフラは全く不十分だ。ホーチミンでも地下鉄などの公共交通機関が発達してくれば、雑踏は解消できるかもしれない。ただし、今は当該国にはカネがない。そこで、先進国の技術付きのODAなどが期待されるわけだ。
 
 しかし、単純にインフラだけ作ればいいというものではない。インフラを使うサイド(特に産業)も同時に育成しなくてはいけない。そしてインフラも産業も、支えていくのは現地の人だ。最大の途上国支援とは、人材育成である。
 
<初出:2016.12>