Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

ロシアの不安定化

 ロシアでは8月から高齢化に伴って高齢者の医療・介護の負担を増やすことになったが、それだけではなく年金支給年齢の引き上げに向けて「人生100年時代」と銘打ったキャンペーンが進行中である。自然に長く働き、「社会全体の生産性」を高める気運を醸成しようということだろう。

 
 同じ様な課題に悩んでいる国は多い。高齢者増だけが原因ではないが社会保障費が膨らんできて、これをどう賄うかに各国政府は頭を痛めている。先日中国のある人物と話していたら、中国はすでに2億人の高齢者を抱えていて、今後も増え続けると言っていた。日本とはケタの違う話である。サッカーワールドカップも成功だったし、プーチン政権の4期目も始まったし、順調に見えたロシアの内政だが、社会保障費削減に踏み込んだことで、支持率が急落してしまったという記事があった。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/83-3.php 
 
 支持率31%というのは、まともな対立候補や野党がいない政権にとってはかなりの危険水域だと思う。やはり庶民は、日々の生活に大変困っているのだろう。さてこの影響だが、日本の課題「北方領土問題」は進展する可能性は低くなった。高い支持率であれば領土で多少譲歩する可能性もあったのだが。一方、周辺国への軍事行動の可能性は高くなった。日本も例外ではないが、やはり最大の脅威はバルト海だろう。

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 ひょっとしたら、トルコを含めた中近東というのもありかもしれない。クリミア併合に味をしめて、紛争を起こして市民の目をそちらに向けることは十分に考えられる。そういう暴発をしないで、プーチンが静かに退場するという可能性も少しはある。しかし、外国からの援助は望めず、経済の復興は非常に困難、これ以上の歳費削減も難しいとなると選択肢はほとんどない。

 大統領選挙がまともに行われても、当選するのは耳障りのいい政策を掲げたポピュリストだろう。その結果、ロシアはエリツィン時代のように液状化する可能性が高く、国際情勢の新しい深刻な不安定要素といえるでしょうね。
 
<初出:2018.8>