Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

Twitterによる大統領府広報

 トランプ次期大統領のTwitter攻勢が止まらない。Ford工場のメキシコ移転をやめさせ、GMのメキシコ工場について「引き揚げないと高い関税を払わせる」と恫喝、ついにトヨタのメキシコ工場新設にまで言及した。

 
 これまでもオバマ大統領やヒラリー候補がソーシャルメディアに登場することはあったが、トランプ政権は広報担当を置かずにソーシャルメディアで広報するつもりなのかと思いたくなるくらい激しい。ソーシャルメディアそのものが誕生してあまり期日が経っていないので、運営その他でアクシデントが起きる可能性を否定できない。
 
 僕の友人の霞ヶ関(高官?)にも、ソーシャルメディアの愛好者はいる。ただし、自宅から業務時間外に匿名でやっている。そのあたり、公私の峻別は当然のことと思う。トランプ氏の場合本人が実際に文言を書いているかどうかもわからないが、もしそうだった場合ふとキーボードが滑ったばかりに取り返しの付かないことになってしまうかもしれない。公式発言としては相応のチェック体制が必要だと思う。

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 そもそも、米国既存メディアは民主党寄りだという。それゆえ紆余曲折あってもヒラリー候補が勝つと報じていたし、日本のメディアとその視聴者もそれを信じていた。トランプ政権が、そんな既存メディアに一線を引きたいと思っていても不思議ではない。その代替ならソーシャルメディアで十分という意見もあるかもしれない。
 
 それはともかく、今回のトヨタの対応は立派だった。豊田社長はメディアの取材に「一旦出て行くと決めた以上は責任がある。社会貢献する」と毅然と応えた。上記Twitter攻撃に対しても、同社広報は「新設であって米国からの移転ではない。今後トランプ政権との協議を楽しみにしている」と不敵(?)な回答をしている。
 
 別の報道では、CESの会場でソニーの平井社長が、「当社は世界各地で事業を展開しており、人・モノ・金・情報はなるべく制限なく自由な形で流通させられることが好ましい。トランプ次期大統領に限らず各国のリーダーにこうしたメッセージを出したい」と語ったという。
 
 日本の経営者、捨てたものではありませんね。
 
<初出:2017.1>