以前からこのように殺傷力の高い銃器を規制しようという話はあったのだが、西部開拓以来の「武装して家族を守る権利」を主張する人たちが、規制派を押さえつけてきた。その原動力が、米国最大のロビー「全米ライフル協会(NRA)」である。ジョン・ウェインやチャールトン・ヘストンといった俳優を前面に出し、男の中の男が銃を持って悪党を懲らしめるという分かりやすいイメージを売り物にしてきた。
支持してくれる政治家には支援を惜しまず、規制派の政治家を貶めることで政治力を誇示してきたし、今回も「教師を武装させればいい」などと反論している。フロリダの事件の被害者やその家族をホワイトハウスに招いたトランプ大統領は、痛ましい事件としながらも「銃規制」には言及しなかった。NRAの意向を十二分に汲んだ形で、銃を持つ教師には「少しボーナスを」とまで言った。
しかし、さすがのNRAも今回は旗色が悪いようだ。トランプ大統領の支持にもかかわらず(いや支持ゆえか)複数の航空会社やIT企業らがNRAとの提携を解消する動きに出ていて、長期的には彼らの経営に影響が出るだろう。またNRAから支援を受けている政治家のリストアップも金額(原データは公開されている)を含めて進んでおり、これらの政治家の命運も、中間選挙の今年には危うい。
<初出:2018.2>