また羽田空港にやってきた。1ヵ月前と同じ、青い日系航空会社のフランクフルト便に乗るのが目的である。ただ前回の休暇旅行とは違い、れっきとしたお仕事。ウィーンのイベント会場で行われる国際会議に参加するためである。6月にいわゆる「ハノーファー・メッセ」の会場でやった会議があったが、今回もそのパターン。
久し振りのウィーンだから懐かしさもあるのだが、問題は気温。零下になることもあるという。仕方がないのでバッグにコートやマフラーを詰めた。もうひとつの問題は、意外に混んでいること。エコノミーの通路側・窓側まで一杯で、これは大変な12時間のフライトになるかなと思った。
カウンターのお姉さんが奮闘してくれて、ぎりぎりで最後のビジネスクラス席をとることができた。ほっと一安心。聞くと、この寒さにもかかわらずクリスマスシーズンなので、12月に入って予約が一杯なのだそうだ。
離陸して最初の食事の前に、アペリティフはどうしますかと聞いてくれた。このシーズンの路線限定メニューがあると言う。目についたのは、ブラッスリー・カステランの「グラン・クリュ」。フランス産のビールである。ただアルコール度数8.5%と、モーゼルの白ワイン並みの濃さ。
文句なしにこれを選び、持って来てもらった。ややアンバーな色合いで、見た目は「ヘッフェ・ヴァイツェン」に似ている。泡の肌理も細かく、微かに見える浮遊物が食欲(呑み欲?)をそそる。実際冷えすぎていないで、そのどっしりとした飲み口を味わった。その後も、路線限定のドイツの白ワインを合わせて、メインディッシュはアンコウ。白身の分厚いソテーのようで、とてもグロテスクな外観からは想像できないさっぱりした食感だった。
スターターとしてのビールの「グラン・クリュ」、初めて試したのだがとてもいい感触だった。「ヴァイツェン」並みに好きになりそうな気もする。問題はアルコール濃度ですかね、飲み過ぎには注意しませんと。
<初出:2018.12>