Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

3つのヴァイツェン

 かつて国交省の水資源政策課長だった人物から、世界の穀物の話を聞いたことがある。この役職、空梅雨で干ばつの可能性が出てくると大変忙しくなるのだが、水が余っている状況ではまるきり仕事がないとおっしゃる。水に本来色はないが、農業用水、工業用水、生活用水の区分があり水不足の時にこれらを差配するのがこの方のお役目。

 
 ちょうど長梅雨で、ほぼ上記の差配に心配がなくなったころだったから、NINJA相手に講義をしてもらえる時間があったわけ。米、小麦、大麦、ソバ、粟などの雑穀を並べてみると、一番水を喰うのが米、特にジャポニカ米だという。しかし水は喰ってもその分美味しいのが、日本のお米だというのがかれの主張。それをただ食べるだけでなく日本酒という飲み物にしてしまうのだから、日本人は贅沢な民族なのらしい。
 
 お米以外にも、大麦よりは小麦が美味しいという説もあり、欧州の人たちは小麦は食用にし、大麦はビールなど飲料にするのが普通。しかし、例えばドイツ人でも南の方(バイエルン州やヴァーデン・ヴュルテンベルグ州)の農耕に適した土地の人たちは、小麦でビールを作る。それが小麦のビール、ヴァイツェンである。

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 よく一番色が濃くてずっしりした味わいの「ドゥンケル・ヴァイツェン」を紹介しているが、その他中くらいの濃さの「ヘッフェ・ヴァイツェン」と、透き通った「クリスタル」の2種類がある。好きなので座るや否やドゥンケルを頼んでしまうのだが、本来はクリスタルから始めて、徐々に濃いものにしてゆくべきかもしれない。そんなわけで、ハノーファー滞在中のこの日は地元のピルス(これは大麦)でタリアテッレを食べながら、2杯目にはヘッフェを頼んでみた。
 
 このお店にはクリスタルが無かったから仕方ないのですが、ちょっと落ち着いたらクルスタル・ヘッフェ・ドゥンケルの順番に呑んで見たいと思いました。
 
<初出:2018.6>