国連安保理が、北朝鮮に対する新しい制裁決議を全会一致で採択したとの報道があった。これまでの制裁議論に難色を示していた、中国・ロシアも賛成したのである。
これまでの再三の制裁決議等にも、なんら影響されることなく核ミサイル開発を続ける北朝鮮は、驚いたことにいまだ国連を脱退していない。国際連合という枠組みの、無力さを感じるエピソードではある。新しい制裁では鉄鉱石や石炭の貿易を全面禁止している。ただウラ金ルートはまだ残っているようで、これも実効性があるかどうかはわからない。
一方、日本や韓国でも自然災害が起きているように、北朝鮮も干ばつや洪水で農作物が不作だという。餓死者を出さないような人道援助が必要と言われているが、援助が本当に困っている人に届く保証はなく、援助物資を横流しして得た資金が核兵器開発に使われるなら、困った話である。
中国としては、秋に大事な、大事な党大会を控えていて、その前に大規模な事件になることは避けたい。一方、米国は９月から米国人の北朝鮮渡航を原則禁止する。その後、韓国からも米国人の引き揚げが始まる可能性がある。アメリカ本土に届く核ミサイルを放置したとあっては、歴代の政権の中でも汚点を残すことは間違いなく、トランプ政権は実力行使を迫られるだろう。今は、その準備段階だ。
一番穏当な手段はかの国の指導者の除去だし、もう少し過激な手段を採る可能性もある。半島有事が近づく今、小野寺新防衛大臣には早急な自衛隊の統治回復と、関係機関との連携強化に尽力していただきたいとねがいます。
＜初出：2017.8＞
