Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

大学もホルーディングスの時代

 多くの企業が経営上の課題解決のため、合併・統合をする傾向にはある。その場合、各企業の形態を残したまま持ち株会社(ホールディングス・カンパニ)を設立するというのも有力な手段だ。これによって、異業種の連携や国境を越えた連携も比較的スムースに進められることが期待される。最初は金融機関ではじまったような気もするこの流れ、事業会社やインフラ事業者にまで広がりとうとう国立大学にまでやってきた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20181225-OYT1T50117.html 

 

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 この地域で育った僕としてはそれなりに縁のある2つの大学、名古屋大学岐阜大学がホールディングスにあたる「東海国立大学機構」のもとで経営統合することが発表された。実施は2020年春という。僕の(古い)時代には、名古屋大学は「旧八高」で国立一期校、岐阜大学は国立二期校として地元の学生を多く集めていた。名古屋の事業所での課長時代、課員の大半は地元出身、名古屋大学岐阜大学名古屋工業大学愛知教育大学で占められていた。

 名古屋大学は地方の国立大学としては珍しく、ノーベル賞受賞者を何人か出している大学。世間の動向にこだわらない独自の研究意識が、昔は高かったのかもしれない。一方の岐阜大学、特段目だったことはないのだが医学部をはじめ地元に人材を還元して地域を支え続けていることは確かである。今回の経営統合会見でも、岐阜大学は地場を支え、名古屋大学は世界と戦うと言っていた。


 その基盤を強化するための「経営統合」だろう。まず管理部門の統合で経営余力が出てきたら新しい取り組みをすることもできる。今は国立大学といえど「全部お国がかり」ではないので、自分で食い扶持を探さないといけない。これによって本当に世界で戦える大学になってくれたらとは思うのだが、潤沢な資金の廻るアメリカの大学、本当に貪欲な中国の大学を見ていると「温和な濃尾平野の民」が世界競争に巻き込まれて大丈夫なのかと心配してしまいます。

 

<初出:2019.1>