ふと天井を見ると、複製かどうかは分からないが天使を描いたフレスコ画があった。音楽家シューベルトとは無関係だろうが、何か荘厳な気持ちになる。さりげなく歴史が僕らを見下ろしている感じだ。そして二皿目として運ばれてきたのはミネストローネ、野菜スープである。
昔ドイツで仕事をしていた短い時期、よく前菜で食べたメニューだ。日本人は大柄なドイツ人に比べて小食なので、メインを食べる前に食べすぎてしまう傾向がある。そんな経験から、軽めのスープを前菜に選ぶことは多かった。野菜スープはその中でも軽いので、Tボーンステーキなど思い切り食べたいとき、よく前菜にこれを食べたものだ。
ただ今回の野菜スープは、その時のものとは全く違っていた。一言で言うなら「ゴロゴロ野菜のスープ」だろうか。コンソメ味なのだがとても濃く、ブロッコリーやニンジンなども十分食感を残している。こんな美味しいミネストローネは初めてだった。
この皿に合わせて出てきたのは、イタリアの白ワイン。この後の3杯はいずれもイタリアのものだった。あとで気付いたのだが、この店の名前はシューベルトの後に地中海とある。ウィーン料理というよりは地中海料理がカンバンなのだろう。この白ワインも辛口で、スープによく合ったものだった。
三皿目は魚料理の盛り合わせ、半生のソテーや煮魚など3種の切り身が乗っていて、これに合わせるのはロゼワインだった。料理には、レモンをたっぷり絞っていただく。
最後はデザートが出てきて、デザートワインもイタリアのもの。約3時間かけたディナーだったが、十分満足できるものになった。こういうお店に出会えるのも、古都のゆえなのでしょうね。個人ではなかなか来ることができないお店、誘ってくれたひとたちに感謝です。
<初出:2018.12>