Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

日本のランチボックス

 先だって米国のある団体がやってきて、業界団体でフリーディスカッションをするというランチに誘われた。お弁当につられて、のこのこ出かけてみた。僕が普段会うアメリカ人は、来日経験も豊富な「日本通」が多い。片言の日本語も話すので、英語の能力が十分ではない僕も、なんとかコミュニケーションできる。
 
 今回、最初に紹介を受けた時に「7名のうち6名は日本が初めて、あとのひとりも20年前新婚旅行できて以来」と聞いて、困ったなと思った。以前にも書いたが、専門領域の話であれば、基本が英単語なのでなんとか通じる。しかし、日本の歴史・文化のようなことになると、その領域の英単語がわからない。

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 救ってくれたのはお弁当だった。皆、日本のお弁当に目を輝かせたからだ。きちんとセパレートされた区画に、少しづつ料理が美しく盛り付けられている。これは何だ、どういうソースだ、という話が始まり、恐れていた歴史・文化は口に上らない。
 
 それにしても初来日にしては、上手に箸を使うものだと思った。最近は日本の牛丼屋にすらスプーンが置いてあって、日本人と思しき若者が箸を使っていないのに。彼らは皆、ワシントンDCの住人である。聞くと、中国料理店や韓国料理店、日本料理店は良く利用するという。
 
 そうはいっても、こういう「お弁当」は初体験だったようだ。無事にランチが終わり、あとは普通のミーティングになった。一安心である。外国で食べるランチボックスは、一般に味気ないものだ。台北で食べたのが一番日本のものに近いかもしれないが、ご飯の上に具を並べた「ぶっかけ弁当」のようなものだった。そういう意味では、知らず知らずのうちに、日本の文化を紹介していたのかもしれない。
 
<初出:2016.7>