Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

圧力鍋爆弾

 国連総会の始まったニューヨークで爆発事件があり、29人の負傷者が出たという。これに先立って、隣のニュージャージー州でも爆発事件があった。さらに、圧力鍋にワイヤのついた不審物まで見つかっている。
 
 2013年には、ボストンでマラソン大会を狙った爆弾テロがあった。ここで使われたのも、圧力鍋だった。日本赤軍など過激派の時代から、手製爆弾はよく使われた。例えば「鉄パイプ爆弾」。内部で火薬を燃焼させてガス圧を高め、外壁の強度が限界になったところで爆発するのだが、その時の圧力が高ければ高いほど規模の大きな爆発を起こせる。
 
 そういう意味で、鉄パイプより内部容量が大きく相応の耐久力を持った圧力鍋は、恰好の爆発物容器になるのだ。この手の爆弾は、特別な専門知識が無くても作ることができる。ボストン事件の後には、日本のTV局が競って手製爆弾の作り方を放送して、物議をかもした。バラエティ番組のキャスターが、「こうして、ああして、これを入れてワイヤをつなぎ・・・出来上がったのがこれになります」などと、料理番組のような解説をしていた。願わくば、圧力鍋を人間に対して使わないでほしいものだ。

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 今回の事件、まだ不明な点ばかりだが防犯カメラに不振な人物が映っていたよううだし、犯人の特定・逮捕はそう難しくはないだろう。しかし、死者が出なかったとはいえ社会全体に与える影響は大きい。タイムズ・スクェアが閉鎖されたり街が警官で埋め尽くされて、自由な往来が制限されることになる。それどころか、町に出ることそのものが減るだろう。犯人の意図はともかく、社会全体がおびえて経済活動が停滞するのが、この手の犯罪の最大被害である。
 
 別のニュースでは、ミュンヘンの「オクトーバー・フェスト」の紹介をしていたが、こちらも厳戒態勢。来場者の荷物検査を徹底し、武装警官が周りを固めている。ソフト・ターゲットはどこにでもある。すべてを守ったり警戒することはできない。テロとは、テロル(恐怖)の意味である。一般市民を含めて恐怖を与え、安穏な日常を送らせないことがその狙いである。
 
<初出:2016.9>