Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

南ドイツの憂鬱

 ドイツ南部バイエルン州アンスバッハで、自爆テロがあったらしい。死亡者はこのシリア人の男(27歳)だけで、12名以上の負傷者が出たと報道された。野外音楽祭に2,500名以上の参加者があり、その近くの路上での爆発だったので、その音楽祭(ソフトターゲット)を狙ったものの入場できずに自爆したとも考えられる。

 今月になって、テロとはこれまで無縁だったドイツで事件が頻発している。ビュルツブルグでは、列車の中でアフガニスタン難民の17歳の男が斧とナイフを振り回し、4名が負傷した。ミュンヘンでは、イラン系の18歳の男が銃を乱射し、9名の犠牲者がでた。一目見たところでは、この3件に「若い外国人の犯行」以外に共通性は見られない。ただ「斧・ナイフ⇒銃⇒爆弾」と凶器がエスカレートしているのが気になる。

    f:id:nicky-akira:20190504064922p:plain

 
 ドイツにも銃規制はあり、狩猟やコレクションなどちゃんとした目的がないと実銃は所持できない。21歳以上という制限もある。ISISが持ち込んだものだろうか?ましてや爆弾は?火種となってる中東やアフリカ、中でもレバノン・シリア・アルジェリアイラクなどの旧宗主国だったイギリス・フランスに対しては、微妙な感情を持つ人たちもいるだろう。イギリスでもかつて同時爆破テロがあり、フランスは今でも非常事態宣言中だ。しかし、ドイツはそういう植民地を持っていなかったし、第二次大戦からずいぶんたって受け入れた移民・難民が多かったはずだ。

 かつてのユダヤ人迫害の反省と罪滅ぼしから、寛容な移民政策をとってきた。教育や職業訓練、手厚い保障などは、シリア難民の多くがドイツを目指したことでも明白である。イギリスはEU離脱で移民に門戸を閉ざし、フランスは非常事態宣言を継続して移民・難民を白眼視する、この上ドイツで移民政策の転換が図られるようになることが懸念される。

 ドイツ国内でも、移民政策が寛容すぎるという批判は以前からあった。国粋主義の台頭もあるようだ。ヨーロッパを代表する3国が「内向き」になれば、南北問題は一層深刻になるだろう。しばらく、ドイツの世論に注目したい。
 
<初出:2016.7>