Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

シェアリング・エコノミー(4/終)

 ある程度社会が豊かになって、貴族でなくても個人(もしくは世帯)の資産が形成できるようになると、家/土地や家畜などは「持つこと」がステータスになってきた。現代社会も、その影を引きずっている。人生に本当に必要なのは、目標とすべきことがあって、そのための道具が使える状態にあること(可用性)のはずだ。目標とすべきことのため、必ずしも道具を所有(占有)しておく必要はあるまい。
 

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 ただ、シェアリングしたときの不便を考えると、所有しておいた方が望ましい。シェアに関しての手続きが面倒だったり、急場に間に合わなかったりするから。その手続きを簡略化したり、即応性を確保できるようにしたのがインターネットの世界である。

★大量のシーズ(サービス側)と大量のニーズ(利用者側)が、常時インターネットでつながっている。

★サービス側も利用者側も、ある程度の評価が公開されている。これにより、双方とも相手の信頼度を測ることができる。

★即時の契約締結が可能で、関連する決済なども簡便な方法で済ませることができる。

 ここで言う利用者は、個人に留まらない。企業(特にスタートアップ企業など小規模事業者)にとっても、シェアリング・エコノミーは希望の持てる施策だ。

☆3次元プリンタのように比較的高価な設備を、複数企業でシェア。

☆コンビニ等複数焦点への商品配送を、同一トラックに混載する。
 

 すでにガソリンスタンドへの配送は、複数社が混載するようになって久しい。共通化できるところは共通化し、共有すべきは共有し、浮いたリソースで競争力を磨くための投資をする。個人よりも企業の方が、生き残りをかけてシェアリング・エコノミーを採用しつつある。

 経済学の概念としては、かなり以前から「所有から利用へ」というトレンドが報告されてきた。それがそろそろ個人の目の前にやってきた、ということだろう。
 
<初出:2016.8>