ドイツは鉄道王国であるという。整備が進んでいるし、なにより正確だ。10分遅れるくらいあたりまえのいずくかの国とは違う。当然スイスもそうなのだが、王国というより「鉄道天国」のように思う。ベルナー・オーバーラントへ出かけた時、チューリッヒからの特急列車でも天井に届く広い窓から景色を楽しめた。
・アルプ式の歯車を付けて急坂を登る、登山鉄道
・急斜面を上下する、ケーブルカー
・2000mの高地へと運んでくれる、ロープウェイ 等
写真の機関車は、斜面を上下することを想定してそれ自体が「傾斜」している。ちなみにスイスの鉄道は、こういう特殊ケースを除いては、全て電化されている。
さてベルナー・オーバーラント鉄道に乗ると、4人掛け席の窓側に小さなテーブルが備えられている。その下はゴミ箱になっているが、これは珍しいことではない。面白いのは、テーブルにベルナー・オーバーラントの地図が書いてあって、路線も示されていること。よく乗降扉の上に路線図を掲示してあるが、観光客にとってはテーブル上の路線図は大変ありがたい。
鉄道の頂点は、トンネルをくぐって登ってゆくユングフラウ。駅の前には氷河が広がっている。西側は、ラウターブルンネンからロープウェイなどを乗り継いで登るシルトホルン。映画「女王陛下の007」のロケにも使われたところだ。
日程の都合もあるので全部は廻れなかったが、印象に残ったのは、グリンデンヴァルトから望むアイガーと、ラウターブルンネンの上にある静かな村ミューレンだった。
歩いていても、すぐそばで牛がカウベルを付けて草をはんでいる。柵のようなものもあるが、実質野放しのようなもの。鉄道が動き出して車窓を眺めたら、牛の車窓を覗き込んできた。6月も下旬だったがさほど観光客は多くなく、天候にも恵まれ、ゆっくり山の景色とハイキングを楽しんだ4日間になった。
<初出:2016.8>