Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

M48パットン戦車

 第二次世界大戦で、陸上の王者は戦車になった。王者の進歩はわずか5年あまりの間というのに、目覚ましいものがあった。戦前の主力戦車は、重量10トンあまりで主砲も40mm口径未満で短砲身だった。戦争が終わったときには、重量40トン以上で主砲は90mm口径程度で長砲身になっていた。100トン級の超重戦車も試作されている。

 
 1945年に「枢軸陣営」は消えて平和な時代がきたかと思われたが、平和は長く続かなかった。自由主義陣営と共産主義陣営がにらみあう「冷戦」がすぐに始まった。「冷戦」といいながら、ところどころで両陣営の代理戦争や直接対決が起きた。代表的なものが、朝鮮戦争中東戦争ベトナム戦争である。

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 ソウルの三角地駅のそばに朝鮮戦争の戦争記念館があり、当時のものを中心に兵器が屋外展示されている。その中に、迷彩塗装をしたM48パットン戦車が1両ある。パットンとは、言わずと知れた第二次世界大戦の英雄ジョージ・パットン将軍である。北アフリカシチリア、イタリア本国、ノルマンディー上陸作戦からバルジの戦いに至るまで、欧州戦線を主役として戦い、終戦後事故死した生粋の軍人だった。
 
 M3リー/グラント、M4シャーマン南北戦争の将軍の名をとったものだし、パットンの名も上司であったパーシング将軍と並んで主力戦車に与えられた。
 
◆M48パットン
 ・重量 52トン
 ・速力 48km/h
 ・兵装 90mm砲、12.7mm機銃、7.62mm機銃
 
 ここに展示されているのは、M48A2Cというタイプ。実は、パットン戦車は朝鮮戦争の開始によって開発されたのだが、朝鮮戦争の休戦前には間に合わなかった。後のベトナム戦争では米軍の主力として戦っている。また韓国を含む多くの国に貸与されていたから、その1両なのかもしれない。
 
 ちなみに、韓国自身もM48の改良をしている。M48A3のエンジンをガソリンからディーゼルに換装したM48A3Kである。被弾した時、ガソリン車よりディゼル車の方が爆発しにくい。後のM48A5では米軍もディーゼルエンジンにしているので、この改良には意味がある。
 
 朝鮮戦争での実戦経験を持つ韓国軍将兵は、ベトナムでは最有力の兵力として戦った。このM48もひょっとするとベトナム帰りかもね、とちょっとだけ考えてしまいました。
 
<初出:2017.7>