Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

記述式でしか測れないもの

 大学入試センター試験は、2020年で終了する。僕はぎりぎり共通一次試験と呼ばれた大学入試の共通テストが導入される前に大学に入った。だから共通テストが受験生にどういう印象を持たせるのかは、理解できていない。一方、出題し採点する側のことは多少はわかる。

 
 ほぼすべての受験生に同じ問題を出し順位をつけるのだから、採点はフェアでなくてはならない。だから答えにマギレのない、正解不正解がはっきりする出題と採点方式が求められる。記号で回答する短答式で、コンピュータ処理ができるマークシート方式が便利である。
 
 この方式には、根本的な欠陥がある。知識は測ることができても、思考力や応用力は測ることがむずかしいのだ。初等中等教育への選抜試験ならともかく、高等教育の入学者選定ではこれらの能力の優劣を見なくては本当に的確な判断はできないと思う。
 
 
 センター試験後継の試験では、記述式を数学と国語についてだけだが導入するという。これは歓迎なのだが、実現上の課題は大きい。膨大な回答をどうフェアに判断するかということである。当然一人の採点者では担当できないし、複数の採点者の間でどう基準を作るかレギュレートできるのかが問題だ。
 

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 僕も出身大学で非常勤教員をしていた時、簡単な記述式試験をしてその採点を一人でやったことがある。120人分の採点をなるべく同じ条件でできるように、2~3日に分けるのではなく半日予定を空けて集中的に採点した。気分の差のようなものが出てはいけないと思ったからだ。2021年からの試験、採点についてのアイデアだが、それこそ人工知能でやったらどうだろう。今からなら技術開発も可能でしょうし、私情の入る余地がないのでフェアだと思います。
 
<初出:2017.12>