Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

公共交通分野のオープンデータ(2)

 さて今回の「公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会」の議論だが、国交省の中間整理概要を見ると2項に「首都圏における情報提供の現状」とある。1項「検討の背景」の最後に2020年の東京オリンピックパラリンピックのことが書いてあるところから見ると、今回の主目的はオリンピックをにらんで首都圏中心に公共交通分野での情報提供を強化しようという狙いがあるように見える。


 公共交通に関する情報提供といっても、いろいろある。一番シンプルなのは、運行関連情報特に時刻表だ。JRがまだ「国鉄」と名乗っていた頃、時刻表は紙だった。大手旅行会社のJTBが冊子として発行していて「隠れたベストセラー」とも言われていた。作家の宮脇俊三先生などは、毎月時刻表を買うのが当たり前だと著書で述べている。

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 国鉄は「ダイヤ通り列車を運行する」というのが組織目標なので、儲かろうが損しようが関係ない。運行に直接関係ないことには全く興味がないので、ダイヤデータを自ら(有償であっても)Openにするなどは考えもしない。だからJTBがそれを独占ビジネスにできていた。
 
 しかしJRとなってビジネス感覚も付けなさいとなると、時刻表出版ビジネスも視野に入ってきた。かといってJTBの時刻表を止めさせることはできないので、現状のような2社出版とあいなったわけである。

 さらにインターネット時代になると、Web上での時刻表サービスが当たり前になってきた。主な私鉄やバス路線のデータもサービス事業者が集めてきて、乗り換え案内などに活かしている。このデータ集めにも、問題がいろいろあったようだ。紙(FaX等)で送らないでねと頼んだが、Fileで来たのはいいのだけれど開いてみたらPDFだったと、あるサービス事業者がボヤいていたこともある。

 そんな時代を経て、今では首都圏に限らずおおむね日本中正常時の運行案内、乗り換え案内は利用者として使えるレベルになってきたように思う。問題は事故・不通などによる非常時対応だが、それもある程度のリアルタイム性をもって広報されるようにもなってきた。

<続く>