Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

音楽チケットの転売(2)

 偽造チケットのような転売とは直接関係のない犯罪を除けば、買占めして暴利を得ているかもしれない個人・組織の存在や、本当に音楽を楽しみたい人の機会を奪っている行為は犯罪ではないようだ。ならばなぜ音楽関係団体やアーティストは、反対の表明をしたのだろうか。

 日本でコンサートに出かけることの多い音楽ファンに聞いてみると、コンサートの料金体系にカギがあるという。ウィーンのガイドブックでオペラ座の項を見ると、座席によってチケットの価格がひどく違うことがわかる。立見席などは僕らでも手の届く価格だが、桟敷席など(昔は王様の席だった)はあきれるような値段だ。しかし、日本のコンサートは均一価格が主流という。

 

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 コンサート主催者が価格設定をする時の自由度が少ない、とファンたちに教えてもらった。背景には、関連団体に支払う費用の関係などしがらみがあるらしい。普通モノ(この場合はチケット)の価格は、需要と供給で決まる。50万円でチケットを買う人がいるのなら、主催者そのものが9,800円で売る必要はない。値上げすればいいのだ。

 航空券の価格など、毎日のように変わっている。マニアになると、路線によって季節によって搭乗の何日前が底値になるという知恵を持っている人もいる。あきらかに需要と供給で価格が決まる、当たり前の姿だ。前編で「ダフ屋規制は統制経済の残滓」という主旨を書いたが、音楽業界にもその名残があるのではないか。
 
 昨今CDどころかYou-tubeで大抵の音楽を楽しむことができるようになってきていて、消費者が音楽にかけるコストは減る傾向にあるはず。それを、値上げする機会があるのであれば、主催者含めた業界が飛び付かないのがおかしい。
 
 消費者側からしても、You-tubeでは得られない何かを求めてお金を払うのだから、主催者側がそれに応えるのは業界として正しいことだと思う。多様な料金体系を設け、きちんとマーケティングして値付けすれば、業界がシュリンクすることはないだろう。
 
<続く>