仁川に大規模な空港ができてからも、ソウル市街から遠すぎることもあって金浦空港は重要な空港であり続けた。僕も当然、羽田・金浦路線を成田・仁川路線よりずっと便利に思っていた。最近、仁川・金浦・ソウル駅を結ぶ高速鉄道ができたことによって少しは緩和されたものの、仁川はやはり遠い。
10年ほど前経団連のミッションでソウルを訪れた時、いろいろ現地の情報を大使館の人から教えてもらったこともある。いろいろ日本人には珍しいものを食べさせてもらったが、これから帰国という金浦空港まで大使館の人が送って来てくれた。チェックインを済ませて、まだ時間があるからと空港レストランで昼食をとることにした。
10数人いたが座敷に上がり込んで、鍋物を食べた。昼間ではあるがミッション終了の安堵感からビールも飲んだ。チヂミのようなつまみをいくつか食べた後、ブテチゲという鍋が出てきた。
名前の由来は「部隊チゲ」。朝鮮戦争時、アメリカ軍が持ち込んだスパムソーセージを入れたチゲ鍋である。そこに、日本から持ち込まれたというインスタントラーメンも入れる。ありあわせの物を放り込むのが鍋物だが、朝鮮戦争当時のありあわせの物とは、スパムとインスタントラーメンというわけ。
このレストラン、その後プライベートで韓国旅行に行った時重宝してよく利用した。韓国料理で今回食べられなかったものを最後に食べようというわけで、家内はよくオックステールスープを頼んでいた。僕は「締めの冷麺」、例え冬でも食べていた。
最近はアシアナラウンジを利用することが多くなり、短いフライトで食事も出るのでこのレストランにはご無沙汰になっていた。しかし今回は余裕をもって空港に着いたし、久し振りにチヂミと冷麺でも食べるかと行ってみたら、きれいさっぱり無くなっていた。
これまでの店とは反対側に画像のような新しい店ができていたが、メニューを見てもピンとくるものがなかった。やむなくアシアナラウンジに入って時間を過ごすことにした。空港がきれいになったのは確かだけど、慣れた店がなくなったのは残念でしたね。
＜初出：2017.5＞
