Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

銃撃事件・規制論・産業(前編)

 ラスベガスでの銃乱射事件、未曾有の50余人が犠牲になり500名近い負傷者が出た。避難するときに転んでケガをした人もいるだろうから、全てが銃創の負傷者ではないかもしれないが、一体犯人は何発の弾丸をバラ撒いたのだろう。仮に10発に1発が一人の死傷を引き起こしたとして、約5,000~6,000発。凶器とされるAK-47は通常30連発、AR-15は20~30連発だから、200個程度の弾倉を使ったことになる。これはちょっと信じがたい。

 M249のようなSAW(Squad Automatic Weapon)を弾帯で使えば250発くらいは弾倉交換なしに撃てるが、弾送りの支援要員がいないとジャムる公算が高い。まあ、ジャムったら次のライフルに替えて撃っていたとも考えられるが。この点は、今後の現場検証結果を待ちたい。

 報道では単発銃を連発銃に改造する装置がインターネットでも買えると少々の驚きを持って伝えられていた。しかし、もともとこれらはブローバック型のライフルであり、単発で撃つように制御することの方が技術的には難しいのだ。1発撃つと遊底が後退し、弾倉や弾帯から次のタマを薬室に押し込む。これを撃発させれば、2発目が飛び出し、以下その繰り返しになる。だから単発銃の連発への改造は、極めて容易である。

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 一方戦場では、ベテランの兵士は全自動連発を使うことはまず無い。単発かせめて3点バーストでライフルを撃つ。4発目以降のタマは、無駄ダマになる可能性が高いのだ。だから通常の軍用ライフルには、全自動/半自動(単発)の切り替え装置がある。高級なものになると、その中間に3点バースト切り替えポジションがある。

 ただ今回犯人は約300mという距離を置いて、銃撃を加えた。AR-15より多少は長いとはいえ、AK-47にしても有効射程は300~500mくらい。これを固定台の上において、連射による銃身のハネ上がりを防ぎながら安定した銃撃を、反撃を受けない距離からゆうゆうと行ったわけだ。現場に警官がいたとしても、拳銃では(ホテルのすぐ側からでも)弾丸は届かない。SWAT等の長モノを持った部隊が到着するまでには、10分やそこらはあるだろうと見越していたはずだ。

<続く>