Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

突然の車内検札

 ドイツやオーストリアの鉄道には、通常改札口がない。街中を歩いていて、そのままプラットフォームに入ってしまう。降車した人たちも、そのまま街中にでてゆく。長距離列車も、近郊列車(Sバーン)、地下鉄(Uバーン)もそうだし、トラムに至ってはプラットフォームすらなく道路からそのまま乗車することになる。

 
 従って、切符を買わなくても乗車は可能だ。どれだけの乗客が無券で乗っているかは、正直わからない。フランクフルトでロマと思しき人たちの「朝礼」を見たが、朝礼後彼らは市中の「職場」に向かう。ツァイル通りだったり、中央駅前だったり、毎日同じ人が座っているからそれが「職場」と思われる。そこに向かうのに、トラムを使っている人もいるようだ。どう見ても乗車券を購入しているとは、思えない。
 
 車内には「無賃乗車は罰金€60だ」と表示されている。25年ほど前ドイツの田舎町で過ごしたころは、50マルク(当時のレートで4,000円弱)だったから、多少値上がりしている。つまり改札口はないけれど(トラムでは元々改札口など作れない)、抜き打ちの車内検札をやって、無賃乗車を見つけると罰金をとる、というシステム。

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 仕事で短い滞在をした25年前から、旅行でたびたび訪れるようになったこの数年まで、罰金表示は見るのだが実際の車内検札に遭遇したことはなかった。検札そのものもコストがかかることだし、まあ脅しだけかなと正直思っていた。それが今回のフランクフルト旅行で、初めてお目にかかることになった。
 
 トラムに乗って中央駅の一つ手前の停留所まで来た。僕らのホテルはあと3つ先の停留所。今日もいろいろ見ることができたと感慨にふけり、今夜のビールは冷やしておいたなとか、ソーセージ何本残ってたっけと呑気なことを考えていたら、突然車内にアナウンス(ドイツ語なのでよくわからない)が流れ、緊張が走った。
 
 検札担当は3名、手際よく比較的混んでいる車内をすり抜けながら乗車券をチェックしている。僕たちは複数人用(5人まで使える)の一日乗車券を持っていたからそれを見せて、おとがめはなし。見ていた感じでは、捕まった人はいないようだ。ややびっくりしたけれど、面白い体験でした。ドイツ人、やっぱり真面目に切符を買っているのですね。それとも、事前に検札情報が流れているの?
 
<初出:2017.11>