実験場付近の山岳地帯で崩落すら起きたようで、爆発規模が(TNT火薬にして)70kt規模ではない160kt級だとか、電磁パルス(EMP)攻撃もあるぞとか、脅威論ばかりが紙面を賑わしてている。アメリカに「贈り物」を続けますというかの国も困ったものだが、受け取るアメリカも困ったもので大統領のTwitter反撃だけがとりあげられる始末。国連安全保障理事会は再三の決議をふみにじられても実効ある何かを打ち出せず、手詰まり感が強い。
そんな中、初めてまともな半島有事対策を論じた記事に出会った。
どうせ出てきても紋切り型の回答をしたり議論を引き伸ばすだけの北朝鮮は入れないで、5カ国協議をしようというものである。「贈り物」をされ続けているアメリカ、かの国とは休戦中の韓国、直接陸上の国境を接する中国とロシア、それに日本海を隔てた対岸の日本が集まって「After金正恩の半島」を議論しようというわけだ。
さらなる国連安保理決議では一致できなくても、中露が北朝鮮と共に日米韓と戦うという公算はほとんどない。どちらが仕掛けるにせよ戦端が開かれれば、どんなに暴れても(核の2~3発日本に打ち込んだとしても)早晩金体制は崩壊するだろう。その前に食料不足などから内乱が起きるかもしれないし、「斬首作戦」が成功するかもしれない。もちろん正恩一家は中国等に亡命するかもしれないが、かの国が国としてのガバナンスを失う一時期があることだけは疑いようが無い。
5カ国が半島危機に当たって思っていることや戦後の展望/リスクについては、以前紹介しておいたので重ねて書かないが、半島の秩序をどういう形で取り戻すかについて5カ国が了解できるスキームを考える必要がある。多少の幅はあっても、基本スキームがあれば統治の回復も迅速に出来よう。
アメリカも、イラクやアフガニスタン、あるいはシリア内戦で学んだであろうから、自らの政治体制を押し付けることに拘泥はしないだろう。そうであれば、中露も我慢できる体制案があるかもしれない。こういう建設的な議論を、各国政府には望みたいと思います。
<初出:2017.9>