Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

半島に捨てに来たもの(2)

 金日成のもとには、T-34戦車やSu-100自走砲などヒトラーにとどめを刺した凶悪極まりないAFVが充足しつつあった。部隊指揮官は旧日本軍の基礎訓練で鍛えられた上に、ジューコフ将軍の電撃戦戦術を学んでいた。戦力が十分整った北朝鮮軍は、1950年6月突如韓国に侵攻した。南北統一を果たし朝鮮民族国家を再興するのだとの目標の裏に、ソ連の半島支配の野望があったことは言うまでもない。

 

    f:id:nicky-akira:20190427164440p:plain

 
 北朝鮮軍はたちまちソウルを占領、微弱な韓国軍と英米陣営を蹴散らして南下を続けた。後年の湾岸戦争を除けば、これが最後の「電撃戦」だったように思う。南部に押し込められてしまった韓国・英米軍ではあるが、さすがに北朝鮮軍も補給に苦しみ始める。ここでマッカーサー司令官は仁川上陸作戦という賭けに出る。今の半島情勢でも同じなのだが、海上戦力では北朝鮮側に見るべきものはない。当時のソ連とて同じことで、世界一の海洋軍事国家アメリカの水陸両用戦力を撃退することはできなかった。
 
 仁川に上陸した米軍を中心とする国連軍は、ソウルを奪還、平壌も落としてしまった。今度は北朝鮮軍が鴨緑江付近に押し込められてしまったのである。ところがここで、国連軍やマッカーサー司令官の予想外の事態が起きる。中国共産党軍が突然参戦、圧倒的な「Human Wave」(人海戦術)攻撃でもって反撃を開始したのである。
 
 なにしろ兵士なら無尽蔵にいる中国軍である。ソ連軍や旧日本軍もこの手を使ったが、その圧力は比較にならない。国連軍が持っている弾丸の数より多くの兵士が襲い掛かってきたようだ、と評した人もいた。手を焼いたマッカーサー司令官は中国軍の策源地である鴨緑江対岸に核兵器を使うことを求め軍の中枢と対立、解任されることになる。結局、3年間続いた戦争は38度線という「振り出し」の戻って休戦、現在にいたるわけである。
 
<続く>