Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

主力兵器の世代交代

 第一次世界大戦の「シェットランド海戦」をピークに、主力兵器たる戦艦の価値は徐々に衰えていった。当時はまだ黎明期だった航空機や潜水艦がその座を奪うには、さらに20年ほどを要したのだが、目端の効く人にとってはそれは見えていたことだった。

 

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 究極の戦略兵器だった戦艦は、まさに国力の象徴だった。大海軍国イギリス・アメリカに追いつき追い越せとばかり、帝国海軍も技術開発に心血を注いだ。7万トン級の戦艦に18インチ(46cm)の主砲を搭載、40,000m先を観測できる光学機器を備えるなどなど、不沈艦と呼ばれた「大和」「武蔵」はその典型である。
 
 国力を傾けるほどの資材・資源を投じて作り上げた2艦は、敵戦艦とまみえることなく航空攻撃で沈んだ。高価な過去の主力兵器が、安価だが大量に襲い掛かる次世代の主力兵器に敗れたのである。
 
 これと同じシナリオがイギリスのシンクタンクが出した報告書に見られた。ただ、時代は現代、高価な過去の兵器とは潜水艦であり、安価な次世代の兵器とはドローンであることだけが違う。
 
 
 その報告書を引用して、この記事は日本の潜水艦の優位性が失われる日が来るとして警鐘を鳴らしている。そのこと自体は間違っていないのだが、シンクタンクの報告書は、本当の意味で高価な戦略核ミサイル潜水艦と、これを運用するためのシステム全体を念頭に書かれていることを忘れてはいけない。
 
 日本は戦略核ミサイル潜水艦など持っていないのだから、このトレンドは日本にとって不利ではないと思います。日本防衛のために、AIを搭載した自走式水上・水中ドローンを積極開発しましょう、という風に結んでほしいものですね。
 
<初出:2017.12>