あらためてTPP協定の全容を見てみると、章立ては30ある。データの国境を越える移転を認めるとは限らず、サーバ等の設置場所を規定するかもしれないとした、金融サービスと政府調達は別章になっている。
5章 税関当局及び貿易円滑化
8章 貿易の技術的障害(TBT)
9章 投資
10章 国境を越えるサービスの貿易
11章 金融サービス
13章 電気通信
14章 電子商取引
15章 政府調達
18章 知的財産
22章 競争力及びビジネスの円滑化
これらを眺めていて思うのだが、30章のほとんど全部にICT/インターネットは関わってくる。14章電子商取引という項を設けてくれたのはありがたいのだが、ICT/インターネットは、決してその分野だけに閉じたものではない。本来独立した章で取り上げ、全体にかかるような構成だったらと思う。
ちなみに第13章電気通信は、通信インフラに関するものでアプリケーション分野にまで広がった記述は無い。この章を拡張しても良かっただろう。
ただ貿易自由化の交渉は、TPPだけではない。二国間のFTA(Free Trade Agreement)はもちろん、新サービス貿易協定(Trade in Service Agreement)のような枠組みも進んでいる。これは、サービス貿易に熱心な23カ国が年内妥結を目指して交渉を重ねているもので、
http://ec.europa.eu/trade/policy/in-focus/tisa/
サービスの貿易に関する一般協定GATS(General Agreement on Trade in Services)の精神を拡張し、TPPなどの先進的な例を加えてさらにこれらを超えるものを目指している。その中では、データの国境を越える移転を認め、サーバ等の設置場所規定を禁ずることを、金融サービスや政府調達も含めて行うような交渉が続いているという。ひょっとすると、TPPの批准より早くなってしまうかもしれないと期待されている。
<初出:2016.9>