さて本日のワインだが、持ち込みができたということで、秘蔵の「オーパスワン」を出していただいた。2008年とあるから10年物で、長くワインセラーに入っていたもの。ラベルの薄いシミも、年輪を感じさせる。お店に頼んであらかじめデカンタージュしてもらったものを、スパークリングワインの次に出してもらった。
僕の選んだ前菜2品目は、海老のフリット。中くらいの海老の天ぷらが2尾、バター風味のソースをからめていただく。火は通っているが柔らかさとッジューシィさが十分残っていて、上品な舌触りである。付け合せのパンは香り高く、ほんのり温かい。これもオリーブオイルを付けて口に運べば、良い箸休めならぬフォーク休めになる。
10年物のオーパスワン、濃いルビー色も凄いが香りもふくよか、ソムリエの「濡れた子犬のような・・・」などとするコメントのボキャブラリーは持ち合わせていないので、うーんとうなっているだけだ。海老のフリットにも、もちろんよく合う。
そして看板メニュのパスタ。メニューにはリゾットも含めいろいろあって迷った。ペンネにも惹かれたけれど、最終的にはカルボナーラにした。タマゴの黄身を使うソースのからめ方、火の通し方がコツと言われるメニューだが、僕にとって決め手は焦がしたベーコン。どちらかというと味の変化の少ないメニューだから、カリッとした食感と内部の肉が変化を与えてくれるから。
期待にたがわぬ味で、この店の実力を十分理解した。この上、魚/肉のメイン料理が出てくると、多分食べ切れないしワインも尽きてしまうので、メインなしのコースで大正解。あとはドルチェ等を残すだけになった。メニューによると、コースにはドルチェとコーヒーなどのドリンクが付いているが、これらを1杯のグラッパに替えることができるという。
コーヒー好きでもないし、甘いものも苦手な僕としては、願ったりかなったりのご提案です。さっそく40mlのグラッパをいただいたのですが、これがトゲトゲしていないマイルドな味わい。欧州のシナプシスは当たり外れが多い(というか僕の知識が足りない)のですが、これは当たりでした。カジュアルだけれど、田園調布の名店だと思います。また行きたいですね。
<初出:2018.8>