岐阜出身の歴史作家岩井三四二の「簒奪者」を読んで、びっくりもしたし懐かしさも感じたのは、ナマの岐阜弁が活字ででてきたこと。NINJAの父親は尾張の、美濃に近い木曽川沿いの村の出身である。だから子供の頃から、尾張弁はフレンドリだった。あのタモリ殿が、馬鹿にして日本中に振りまいた言葉である。
岐阜弁は尾張弁とよく似ている。ただ音波でしか聞いたことがないので、活字で読むと相当の違和感がある。一方、この言葉はこういう漢字を充てるのかと初めて知ったこともある。
◆ 田分(タワ)けたことこくやねえ ⇒ 馬鹿な事を言うものではない
◆ 勘考(カンコウ)してやれ ⇒ よく考えて実行しろ
◆ やっとかめやで、敷居が高いわ ⇒ 久し振りなので、敷居が高い
◆ 騒いでおるげな ⇒ 騒いでいるようだ
◆ せわしいことや ⇒ 忙しいことだ
◆ 何も聞いとらせん ⇒ 何も聞いていない
◆ 地下(ジゲ)のもの ⇒ 地元の人
◆ 持ってきゃあせ ⇒ 持ってきなさい
◆ どえりゃあこっちゃ ⇒ 大変なことだ
◆ おきゃあせ ⇒ 止めなさい
◆ わわしい ⇒ わずらわしい 等々
これもリアリティにこだわったゆえだろうが、この地方の言葉を知らない多くの人たちには、脚注くらいは必要かもしれませんね。
<初出:2017.10>