Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

日本の港湾(2)

 コンテナ扱い量では凋落著しい日本の港湾だが、平積み船ではまだ競争力があるともいう。オペレーションが規格化・機械化・標準化できるコンテナは、日本でより中国その他の方が費用対効果で優位にある。しかし、オペレーションが個別になってくると日本の「職人技」が生きてくることもある。

 例えば、主力輸出品である自動車。積載するときの車間は、小さければ小さいほどたくさん積める。横浜港の映像など見た記憶があるが、まさに神技。紙一重の隙間で、詰め込んでゆく。平積み船で、建設機械のような大物を運ぶ場合も同じだ。こういうところは、緻密な日本の技が生きる。
 
 それでも相対的にコンテナの比率が上がり、コンテナをたくさん積める船も増えてくる。パナマ運河の拡張もコンテナ船の巨大化に寄与するだろうし、いつまでも「技」に頼っているわけにも行かない。政府は「スーパー港湾」を指定して、点在する港湾の合併を加速し個々の港湾が規模的にも特徴的にも国際競争に勝ち残れるようにしようとしている。遅きに失した感はあるが、妥当な方針だろう。あとは、その方針に沿って改革ができるかという問題だ。
 

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 これまでは(港湾ではないが)各県に大学の医学部を、各県に空港を、と言ってきたのだから、これらの見直しは当然のことと言える。地方切捨て・東京一極集中は許さないという姿勢で、地方になんでもあるようにしようとしてきたことは確かである。その結果多くの「ミニ東京」を作り、市役所やコンサートホールは立派だけれど産業はないよね、という地方にしてしまったと思う。

 東京港・横浜港・川崎港が合併することになっていて、扱い量では順位を上げることは(当面)できるだろう。種々の効率も向上するかもしれない。しかしいずれにしても東京湾の湾口は狭く、大変混雑している。丸一日かそれ以上ロスをするとなると、多少の効率向上では追いつかないかもしれない。

 日本全体のバランスから見ると、大きな港湾が太平洋側に多いのも気になる。波の荒い太平洋に比べて日本海側の海は穏やかだ。「北前船」の例を引くまでもなく、昔の海運は内海が主体。日本海は、ちょっと大きな内海である。外洋航海が普通になった今でも、釜山・仁川・上海などに集積された荷は、日本海を通って津軽海峡を抜け、北米へ向かう。日本でも、日本海側の港湾開発が必要かもしれない。

<続く>