トロント中央駅の西側には、いろいろなエンタメ施設が集まっている。展望台のあるトロントのシンボル「CNタワー」、トロント・ブルージェィズの本拠地球場「ロジャーズ・センター」、Ripleysの水族館など、これらを目当てに多くの家族連れがやってくる。子供たちにとっては、インド人もイスラム教徒も中国系も等しくここはサンクチュアリのようで、同じようにはしゃいで走り回っている。
そんな中に、扇形のおもしろい施設を見つけた。元は機関車の車庫を扇形に配置し、中央に機関車の向きを変えることができる巨大なターンテーブルがある。車庫の一部はビールの醸造・販売所になり、ターンテーブルの周りにはいくつかの機関車・客車などが展示されている。これら全体を「ラウンド・ハウス・パーク」という。
大人は「ストリーム・ホイッスル醸造所」で売られているビールに舌鼓を打ちに行くし、子供はパーク内を巡るミニトレインに乗ってはしゃいでいる。かつての操車場が面影を残しながら、アミューズメント・パークになっているのが面白い。
この公園の南側は、すぐオンタリオ湖。周遊船やフェリーの乗り場がある。公園の周りはトロントの中心部だから、高層ビルが目立つ。こういう忙しいエリアに、昔の施設を利用した公園を残そうというのは、立派な都市計画だと思う。地形を見ると湖岸の湿地帯だったかもしれないところで、決して広大な土地があるわけではない。そんな環境でも野球場を始めとするアミューズメント・パークを整えている。カナダの人、自然と共に古いものも大事にするようですね。
<初出:2017.9>