Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

国内線なのに、7時間のフライト

 MITとスタンフォードを含めてアメリカのスタートアップ企業を見に行こうという今回の企画、興味深いものだったがだ最大の懸念はボストン(ローガン)空港からサンフランシスコ空港への移動だった。ここは、羽田・シンガポールチャンギ)間に匹敵する7時間ほどの飛行時間がかかる。国内線なので出るのは飲み物だけ、有料の機内食はあるが国際線並みのケアは期待できない。

 

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 しかも今回指定されたのは、昨今乗客引きずり下ろし事件などでとかくとりざたされているユナイテッド航空の便である。心配したものの他の参加者の手前もあって、表面だけは平静を装っている。MITでランチを済ませ、ローガン空港にはフライト出発の1時間半前に着いた。真面目な日本人は、国際線並みの覚悟で乗ろうと思っているわけだ。三人掛けの通路側に席を取ってあった。真ん中は下記のようなことになっても困るし、窓側は洗面所に立つときに2人に"Excuse me." をいわなくてはならないのがちょっと辛い。
 
 
 隣は40歳くらいのインド人男性。肥満体ではないが、狭い席に押し込められて身動きが難しいのか飲み物や食べ物をこぼしている。窓側は30歳代のヒスパニック系の女性。最初からヘッドホンをかけ、自らの中に閉じこもった感じである。僕はと言えば、分厚い文庫本を持ち込んでこちらも自分の世界にひたるつもり。
 
 米国の経済人が「アメリカは東海岸と西海岸だけでいいのに、中部の広大なエリアがあって両者の連携が妨げられている」と発言、トランプ大統領を生んだ諸州に対してまことに失礼ではあるが、このフライトに乗っていると気持ちはわかる。

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 7時間の間に2度飲み物サービスが廻ってくる。インド人は「空弁」を購入して食べはじめた。サンドイッチのようだ。ヒスパニックの女性は、ノートPCを広げてキーボードを叩いている。飲み物を中継してあげたりこぼしたものを拾ってあげているうちに、3人の間で少々コミュニケーションが生まれた。偶然だが、2人とも学究研究者らしい。僕の専門とは違ってヘルスケア系のようだったが、2人は意気投合したようで後半はかなり声高に話し続けた。
 
 問題のユナイテッド航空だが、異常に愛想がいい。何か注意指示でも回っているのだろうか。今のタイミングはそうなのかもしれないが、いずれ「初心」に帰るだろう。てなことを経て、文庫本を読んでいるうちに懸案の7時間はあっさり過ぎた。ボストンとサンフランシスコの間には3時間の時差があり、着陸は現地の19時。今の時期まだ明るい。ケンブリッジにあるMIT(画像上)から、オークランドの工業団地(画像下)まで移動してみると、晴れていても穏やかな日差しの東海岸と、曇っていてもすかっと明るい西海岸の対比がよくわかりました。
 
<初出:2017.5>