Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

エルサレム旧市街(1)

 エルサレムもまた、メディアによく取り上げられる都市である。聖地であるゆえに紛争の報道は滅多にないのだが、ユダヤ教キリスト教イスラム教の聖地を兼ねているということが、潜在的なリスクを醸し出している。イスラエルは首都をエルサレムと位置付けて中央政府/府省を置いているが、特にイスラム教国からの反発は根強く多くの外国政府は公館をテルアビブに留めている。日本大使館も、テルアビブにある。

 
 先ごろエルサレムに大使館を移すと米国トランプ大統領が発表したが、物理的にもそう簡単に移設できるとも思えず、テルアビブ・シェラトンの数ブロック南にまだ米国大使館は存在していた。両都市の間はフリーウェイで1時間半ほどかかるが、それは渋滞がない場合であって、今回僕たちも朝暗いうちから出発したのに結局2時間以上かかって到着。パレスチナの地にイスラエル領が細長く食い込んだような国境線の先端がエルサレム。峻険な峡谷に隔てられているがフリーウェイの両側はパレスチナ、いわゆる「ヨルダン川西岸地区」である。

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 新市街には欧州でよく見かけるトラムも頻繁に走っていて、ちょっと坂が多いことを除けば明るい南仏のたたずまいを感じさせる。午前中の会合が終わり、少し時間があるので旧市街でも覗いてみようということになった。まず向かったのは、旧市街を見下ろすことのできる「オリーブの丘」。
 
 「オリーブの丘」から見ると手前の斜面には棺と思しきものが並んでいて、ラビの服装をした人が何人か歩いていた。強い日差しを受けて白く光る斜面に、ラビの黒い服装は良く目立つ。峡谷の向こう側が旧市街で、深い峡谷の上に建てられた高い城壁の向こう側に、例えば金色のドームが見られる。
 
<続く>