学生時代の締めくくりは、ひとり旅。ちょうどクラブ仲間の「夏合宿」が佐渡であり、現地集合・現地解散だった。それでは、と計画を練り、合宿前の1週間を列車に乗って過ごすことにした。その時期は、秋田の竿燈、青森のねぶた、仙台の七夕、山形の花笠という東北4大祭りが開催されている。
使うのは「東北ワイド周遊券」。周遊地域の端に、新潟があるから使い勝手がいい。
1日目、上野から夜行急行の自由席に乗る。お盆の帰省にはまだ早いが、相当混んでいた。元気のいい話声が聞こえてくるが、ほとんど理解できない。ナマの東北弁なのだ。もう、この列車に乗った瞬間から「故郷」なのだろう。
2日目、未明に郡山で降りて、磐越西線の始発を待つ。それで喜多方(ラーメンで有名)まで行くと、今はアトカタもないが、喜多方⇔熱塩に日中線という超ローカル線があった。収支係数3,000以上の大赤字路線だ。1日3往復しかないので、磐越西線の始発なら朝の便に接続している。その後、会津若松を歩いて郡山へ戻る。この夜も、郡山から青森行きの夜行に乗る。
5日目、平泉を散策してから、青森へ。夜を待ちねぶたを見る。ものすごい人出で、良く見えない。人込みは苦手なので早々に駅に戻り、また夜行に乗る。
就職してからは、こんな真似はできなくなった。最近は時間に余裕もできてきて、家内と出かけることも増えたが、主な移動手段は飛行機になっている。それでも、学生時代の「列車三昧」は、いい経験になったと思う。
<初出:2016.8>