Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

足りぬ足りぬは、工夫が足りぬ

 幼稚園児に教育勅語を暗唱させている「教育者」がいるらしい。半島の付け根の国アナクロだと思っていたのだが、日本にもこんなアナクロが生き延びていたとは驚きである。今回の表題も実はアナクロ第二次世界大戦前から国民に耐乏生活を強いていた日本政府がつくった標語のひとつである。物資欠乏の折ではあるがなんとか工夫して切り抜けてもらい、国民がないものねだりをしないようにと考えたのだろう。

 背景をリセットして言葉そのものに注目すれば、これは真理であるように思う。満ち足りていれば工夫しようとは思わないのが、人間という生き物なのだから。なぜこの言葉を思い出したのかというと、このところ「人手不足」というニュースがやたら目に付くからだ。

http://diamond.jp/articles/-/120090
http://news.livedoor.com/article/detail/12752714/
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO13694680V00C17A3TJC000/

 日本の生産年齢(15~64歳)人口は、1990年代前半がピークだった。すでに20年以上減り続けているわけで、ようやくそれが目に見えるところまで来たということだろう。昨年も牛丼チェーンがアルバイト不足で店舗の一時閉鎖に追い込まれたし、ファミリーレストランも24時間営業から撤退している。上記の記事になるように人手不足倒産が過去最高ともなると、この問題はそろそろ「社会課題」の領域に入ってきただろうし「工夫」の出番のように思う。

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 ひとつの工夫としては、生産年齢の拡大がある。平均寿命が60歳くらいの時と90歳に近づいている時の引退時期はおのずと異なる。生産年齢は18~75歳としてもいいのではないだろうか?次の工夫は、女性の就業率の向上。統計上は欧米に比べて日本のそれは低いらしい。職場やその周辺では、特に女性が少ないとは感じていないが。三番目の(最大の)工夫は、やはりICT活用を多くの業種・業界にお願いしたい。20年後になくなる職業というのを、オックスフォード大の准教授が発表していることだし。

 これを職業が無くなると捉えるか、人手を掛けなくてもよくなると捉えるかは立場で異なるかもしれない。ICTひいてはロボットが人間から仕事を奪うと考えないで、ロボットに助けてもらって暮らしが便利・豊か・楽しくなると思いたい。人手不足を契機に、うまくICTを使う社会になってくれればいいと思うのですが。

 

<初出:2017.3>