ブラジルで、オリンピックを狙ったと思われるテロ計画があり逮捕者が出たという。今年テロの準備段階でも、これを察知したら逮捕できる法律が施行されていて、その最初の適用例になったもの。これはいわば「予謀罪」なのだが、オリンピックを控えてテロの懸念が高まり、法整備したのだろう。
工事の遅れ、大統領の職務執行停止、財政危機など、いろいろ物議を醸しているリオ・オリンピックだが、いよいよ本当のリスクが顕れたようだ。2012年のロンドン・オリンピックでは、物理的なテロはおきなかったものの、膨大な量のサイバー攻撃があったという。物理的なテロ計画もあっただろうが、2005年同時爆破テロの被害にあったイギリスでは、十分な対策をとっていたのだろう。
ブラジル政府は、財政難から公務員への給料を遅配していて、消防士や警察官がストライキ中らしい。彼らが外国にアピールするため "Welcome to HELL" 地獄へようこそ、と書いた横断幕を持っている写真を見た。「こんなに危ないですよ、それでもリオに来ます？」というわけだ。現に有名なゴルフの選手が、ジカ熱と治安問題からオリンピックを辞退した例もある。
さて、４年後は東京オリンピック／パラリンピックだ。サイバー・テロはもちろんだが、物理的なテロも懸念される。日本では組織的なテロは幸い起きていないが、それゆえにリスクが高いとも言える。「予謀罪」のような法整備も必要なのだろうか。導入を試みれば、また国論を沸騰させる大議論になるだろう。そろそろ議論をはじめるべきではなかろうか？
＜初出：2016.7＞
