Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

32年はあっという間(過去編4/終)

 デジタル革命の波は、昨日紹介した総務省経産省だけでなく、ほとんどすべての府省の活動に大きく影響を与えた。経産省などは、意図的に他の府省の領域にデジタルトレンドを持ち込んで、自らの影響力を誇示しようとしていたらしい。まあこれは、いわゆるITベンダー(経産省所管)も同じで、医療・介護・教育・交通・物流・観光・防災・金融・製造・流通・農林水産・司法・行政など社会インフラに手を伸ばしていったことと同期している。

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 そんな中、最後に紹介する2つの府省も、デジタル化のおかげで全く新しい脅威に対応せざるを得なくなった。その脅威とは「サイバー攻撃」。
 
 連合赤軍など組織犯罪との闘い、成田闘争などあって、刑事警察より警備警察としてのスタンスが大きくなっていったのがこのころ。そこに「グリコ・森永事件」が起き、警察は散々振り回される。この事件は、本来刑事警察として隠密捜査をすべきところ、見せる警備をしたため犯人を取り逃がしたと評価される。TVドラマで「キャリアとノンキャリ」の対立が描かれることがあるが、実際キャリアは0.2%しかおらず一般の警官はキャリアに会うこと珍しい。最強の現業官庁といってもいい。
 
 その後振り込め詐欺など新しい犯罪も出てきたのだが、極めつけはサイバー犯罪。手口も犯罪組織もまるきり新しくなってしまったし、そもそも警察組織にデジタル技術に詳しい人が多いとは言えない。必然的に500人くらいしかいないキャリアに期待がかかる。最近会った警察庁の人は3人共「警視長」だった。「相棒」の杉下右京は警部だが、その上が警視、警視正、さらにその上なのだからまさに「雲の上の人」たちである。
 
防衛庁(現在は防衛省
 1985年ころの防衛費は3兆円あまり。約7%の伸び率だと、マスコミに叩かれている。まだ米ソ冷戦は終わっておらず、基地問題は表面化していない。集団的自衛権は行使できないことになっているなど制約が多いので、多額のカネを使いながら戦えない自衛隊だとの批判もある。この時点の最大課題は、レーガン大統領が進めるSDI構想(いわゆるスターウォーズ計画)にどう参画するかと言う事だった。
 
 このころから米軍ではサイバー攻撃の研究はしていたが、田原氏の本書にはそのような記載はない。SDI計画の一部に含まれているのかもしれないが。そもそもインターネットは米軍のものを民間で使えるようにしたのが始まりで、軍のガバナンスを外したらセキュリティはどうなるか不安視する声はあった。
 
 そんな危惧よりも経済効果が著しく、インターネットは急速に普及したが、その結果サイバー空間での脅威が無視できないほどになったのはご承知の通りである。各国は「サイバー軍」かそれに似た組織を作り、攻撃も含めた技術を磨きネット上での戦闘は激化している。
 
 集団的自衛権、特定機密保護法など、安倍内閣になってから自衛隊を巡る環境は多少進歩している。ソ連が北海道に侵攻することに備えていた自衛隊のフォーメーションも、島嶼防衛/奪還を目的にした水陸両用機動軍をつくるなど、あまり早くないとはいえ変わりつつある。
 
 デジタル分野では民間との協力が必要との認識に立つ府省が徐々に増えてきているのだが、この2つの官庁はこの点やや遅れているように思う。まあ時々僕らのの意見でも聴いてみようか、と言ってもらえればのこのこ行くのだが。
 
 4回に渡って、8つの府省の32年前と今についてコメントしました。32年後の2050年、もう一度振り返りたいとも思いますが、寿命がもちますかね?