Cyber NINJA Archives

2016年からの旧ブログを整理・修正して収納します。

コンピュータ・シミュレーションの成果

 あちこちでオスプレイの事故が起き、今も大分空港に不時着した機体は普天間に帰れないでいる。エンジン交換が必要とのことだ。当然、オスプレイ出て行けというシュプレヒコールは激しさを増している。V-22オスプレイの初飛行は1989年、もう30年近く経つのだが不安定さはぬぐいきれない。そうかと思えば、新鋭ステルス戦闘機F-35について興味深い記事があった。

 
 
 F-35ライトニングⅡの初飛行は、タイプAが一番古く2006年である。プロトタイプのX-35だと2000年。実用化は最近といえるが、10万時間飛んで1機も墜落していないというのは驚きである。この記事にあるように、開発初期の事故/墜落は避けられないものだ。ライトニングの名を持った先代P-38も頑丈な戦闘機だったが、その二代目にふさわしいタフネスぶりである。
 
 この記事では、F-15F-16の開発初期と比較し、F-22ラプターの実績も紹介している。これらの戦闘(爆撃)機は、新しいものになるほど初期不良による墜落が減っている。これは恐らく、コンピュータ・シミュレーション技術や設備の高度化によるものだと思う。一般的に、コンピュータの能力は5年で10倍になる。5年後の開発ならばシミュレーションにかけられるパワーは10倍になるわけで、その分より長い、詳しい実験ができる。昨今の飛行機は実際に飛び上がる前に、さんざんサイバー空間で飛行をし、恐らくは何度も墜落しているはずだ。
 

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 こうして初期不良をあらかたタタキ出し対策を施した後に、まだ実機でしかできない実験飛行をし、完成に近づけているのだろう。もちろんこの技術は、すでに就役している飛行機に対して行うこともできるし、多分米軍はやっているはずだ。
 
 ではなぜ、オスプレイは不安定なままなのか?やはりティルト・ローターが垂直から水平に変わる(もしくはその逆)瞬間に、空力的に不安定になる時があるという根本原因があるからだと思う。異形機というのは、やっぱり運用に入ってくると難しいのだろう。もちろん、大分空港に留まっている機体はそれとは関係ありません。どの飛行機にも起きるエンジントラブルと思われます。
 
<初出:2017.9>