75年前の今日、緊張関係にあった日米両国の間に戦火が開かれた。足掛け4年にわたる「太平洋戦争」の始まりである。日本では、30年ほど前から多くの「架空戦記小説」が発表されてきた。曰く、
・真珠湾攻撃をしないで、当初の計画通り「漸減邀撃作戦」を展開していたら
・ドイツの技術を入れて、強力な兵器(特に航空機)を開発配備していたら
・大和級を上回る「不沈戦艦」や「巨大空母」を配備していたら
という歴史のIFを仮定したり、SFもどきになるが、
・宇宙人の技術を偶然手に入れた日本軍が、超兵器を繰り出して英米軍を圧倒する
・海上自衛隊の現在の戦隊がタイムスリップして、日本軍に協力して戦う
さらに、国際政治状況を捻じ曲げて、
日英独他の国が連合する
などというものもある。
まあ小説なので「設定の自由」は作者にあるから、個々にどうこうは言わないが、日本国としては何としても思い留まるべきだった戦争には間違いない。これは決して情緒的な結論ではなく、あの戦争をシミュレーションゲームで追体験したことから得たものだ。一時期のシミュレーションゲーム隆盛の時代から、日本でも太平洋戦争ものはいくつもデザイン・販売された。エンターティンメントが中心のビデオゲームと違い真面目にデザインされたボードゲームは、おおむね歴史をなぞることになる。
1941年当時開発・配備・訓練・整備を重ねてきた日本海軍の戦力はそのピークにあり、1942年一杯は太平洋全域で攻勢がとれる。1943年には膠着状態になり、1944年には米軍の反撃で太平洋の根拠地のほとんどを失う。1945年には、台湾・沖縄・本土までもが戦場になり、常識的には降服に至る。これは、真珠湾攻撃で第二次攻撃を行い戦果を拡大(例えば泊地の燃料施設を爆撃する)しても、ミッドウェーで主力4空母を失わなくても、ガダルカナルへ補給をうまく届けられても、結論は変わらないということ。
各国で首長選挙や国民投票が行われ、反グローバリズムの台頭が顕著になってきた。なんとなく第二次世界大戦の前夜に似ているような気がする。トランプ次期大統領の"America First" はある意味当然である。どの国でも同じことだ。しかし、"America Only" にしてはいけない。その差を次期大統領の支援者たちが分かっているかどうか、他国の選挙も含めて注意してみていないといけないだろう。
<初出:2016.12>